とにかく足が速くなったのだ。どういう訳だかは全体分からない。でも、僕の足は実に速く走れるようになって、それはもう風のように飛ぶように駆けることが出来るのだ。おかげで僕はいつでも渋滞知らず、するすると間隙をすり抜け駆け抜けていったのだけれども、ついに交差点にいた巡査に呼び止められて「おいおい、そりゃ違法だよ」という訳で後ろ手に縄をされて連行、あれよあれよという間に裁かれて、一生涯、公道私道原野を問わず駆け回らないことと制約をつけられ、質素だけど頑丈な一戸と美しい女を与えられ、足が腐るまで楽をして暮らしましたとさ。