サンドイッチマンになった僕は街頭に立って、通りを往来する人々から容赦なく罵声を浴びせられ火の付いたタバコや空き缶などのゴミを投げつけられ、しまいには小便まで引っ掛けられた。僕はただ立っていただけなのに。

悲しくなると河川敷へ逃げる癖は、小学生以来変らない。西日は傾き、人々は家路に帰るというのに、僕はいつまでも土手に座り込み俯いていた。なんだってこんな目に遭わないといけないんだろうと肩からぶら下げた広告板を覗き込むが、よく見えない。僕はなんとか広告を見ようと体を丸め覗き込む。(きっと、そうだ。僕が悪いんじゃない。ここに書かれていることのために、僕はつぶてを投げられるのだ。罵られるのだ。)

ところが、あまりに前傾の姿勢になったため、僕の体はバランスを失い、ごろごろと土手を転がり河へと落ちた。だが、僕にはもう岸に上がるつもりはなかった。幸いサンドイッチ板が水に浮くようなので、このまま流れるに身を任せ、どこかへでも行ってやろう。


河口を過ぎ、港湾を離れ外海をふた月行くと、僕はパナマへと流れ着いた。僕はここでバナナを栽培し、バナナ王になろう。嫌な事は全て忘れられるさ。